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医療・バイオプロジェクト
低侵襲治療による患者の生活の質(Quality of Life)の向上
—フェライト微粒子を利用した高精度磁気標的診断治療の確立—
● 死亡原因1位のがんの治癒率向上と早期発見の促進、及び手術の縮小化等によるがん患者のQOL向上という社会課題に対して、高機能性磁性微粒子等を活用したセンチネルリンパ節の同定、がん転移診断、遠隔磁気温熱治療の確立
がんや生活習慣病の患者に対するクリティカルパスの構築が急がれる。病気の予備軍のときの健康管理から、通院・入院時、さらには退院後の在宅治療時に至る疾病管理(ディジーズマネジメント)を可能とする診断治療体制を構築することは、病院滞留型医療からの脱却による医療費削減や、患者の心身両面での負担を軽減し、生活の質(QOL)の向上に寄与するものである。
患者の早期回復及びQOLの向上には、高効率(少量の投薬)、低副作用、低侵襲の診断治療法の実現が必要であるが、本研究プロジェクトではフェライト微粒子を利用した磁気標的診断治療を確立し、疾病の進行状況をリアルタイムモニタリングすることによって、これを実現する。
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| 高機能性ナノ磁性微粒子・ナノカプセルの開発と応用展開 |
フェライト微粒子を用いることで高感度診断薬の開発や、これを外部から認識・制御するデバイスを組み合わせたシステムを開発することが可能となる。つまり、無駄なく薬剤キャリアを送達するので、微量の薬剤で高い効果を引き出す。また、フェライト微粒子には自己を造影剤とする映像化機能や、高周波を当ててハイパーサーミア治療や磁気音響診断を可能とする優れた機能があるので、他の標的法と比べると優位性が高い。特記すべきは、フェライトは本学の加藤与五郎博士と武井武博士が発明したもので、それにより電子産業の基礎が築き上げられた。フェライトは本学が世界に誇れる成果で、その研究は今でも伝統的に引き継がれている。本プロジェクトはその一環でもあり、医学部を持たない本学の医工連携プロジェクトへの大きな挑戦的研究プロジェクトである。
さらに本研究プロジェクトでは、患者がLSI技術を応用した微小なモニター・オン・チップを装着することによって、フェライト微粒子から得られる情報をリアルタイムにモニタリングできる技術を開発し、在宅型医療におけるユビキタスモニタリングへと発展させて、患者の生活活動範囲の拡大を目指す。
第1フェーズ(〜2009年度)では、高精度磁気標的診断治療に必要な要素技術の開発と、プロトタイプでの効果の実証を行う。第2フェーズ(〜2014年度)では、企業や大学病院と連携して、実用システムの構築と適用範囲の拡大に取り組む。さらに、第3フェーズ(〜2019年度)では、システムの実用化・製品化と、普及のための仕組みづくりを目指す。特に、第1フェーズでは、技術開発研究主体ではなく、それと同時並行的に需要側とのマッチングを目的としたニーズ調査や仕組みづくり等を行う。
ページのトップへ| リーダー/教授 半田 宏 | |
| コリーダー/教授 益 一哉 | 特任教授 上田智章 |
| 教授(学外協力教員) 佐藤高史 | 特任教授 石原 昇 |
| 特任准教授 和田忠士 | 准教授(協力教員) SANDHU ADARSH |
| 准教授(協力教員) 北本仁孝 | 准教授(協力教員) 松下伸広 |
| 特任講師 畠山 士 | 特任助教 天川修平 |
| 研究員 政池由佳 | 研究員 伊藤拓水 |
| 研究員 陳 業熹 |
- 半田宏教授らのチームは、磁気標的診断治療に用いるフェライトを多彩な有機・無機高分子で被覆し、その表面に抗体やDNAなどの生体物質や、薬剤などの生理活性物質を固定化し、高機能性ナノ磁性微粒子を作製する技術の開発に取り組んでいる。これらナノ磁性微粒子は、がん患者向けの低侵襲な診断・治療を実現すべく、体内に導入するMRI造影剤、励磁音響診断剤、磁気温熱療法剤などや、体外診断に用いる高感度磁気センシング用プロ-ブなどの用途を視野に入れ開発中である。近年、磁性と蛍光の両機能を内包した高機能性蛍光・磁性微粒子を世界に先駆けて開発し、これを用いた高感度・高速診断システムを開発しており、この実用化も目指す。また、ウイルスのカプシドタンパク質の自己組織化能によりナノカプセルを試験管内で形成させる技術と、ナノカプセル中に生理活性物質やフェライトなどを内包する技術を開発した。さらに、カプセル表面を改変し、細胞指向性の付与や抗原活性の低減技術を開発し、新規DDSとしての実用化が試みられている。上田智章特任教授と阿部正紀名誉教授が中心となって励磁音響診断装置のプロトタイプを開発し、実用化を目指している。また、Sandhu准教授が中心となって、磁気センサーのプロトタイプを開発し、現在、実用化を目指している。さらに、本プロジェクトに関連した研究や特許出願も積極的に行っている。
- 2007年10月、ナノ磁性微粒子の細胞および動物レベルでの有効性・安全性を検証し、臨床試験へと発展させるために、早期がんの低侵襲診断治療に取り組んでいる慶應義塾大学医学部と統合研究院との間で連携協力協定を締結した。両者はナノ磁性微粒子を用いた早期がんの低侵襲診断治療法の確立に向けて共同研究を開始し、2008年には3年間のJST(科学技術振興機構)プロジェクトに採択され、現在、共同研究を推進している。
- 共同研究を行っている大学医学部は、慶應義塾大学のほか、秋田大学医学部、東京医科大学、東邦大学医学部・大橋病院、東京医科歯科大学、順天堂大学医学部、東京大学医科学研究所などがある。研究機関では国立がんセンター、国立長寿医療センター、放射線医学総合研究所、北里研究所などと連携している。また、海外では、ロンドン大学ナノテク研究センターやUCLAなどと連携している。
大学医学部や研究機関との学外連携のもとに、がんの磁気標的診断治療用の薬剤や装置の実用化を目指した前臨床試験において開発コンセプトを実証し、いくつかの企業と提携して実用化・製品化に向けた安全性試験や臨床試験を経て、病院への普及を図る。そのために、出来るだけ多くの大学病院、特に医療特区に指定されている病院との連携を図り、開発した薬剤や装置の普及を図る。医学部のない本学において、これは極めて挑戦的な医工連携研究であり、医学部・病院・企業を含めた本学独自の医工連携の基盤を築き上げ、本学のフェライト関連技術の社会への大きな還元を図る。
本プロジェクトはフェライト関連の技術を基盤として、医療への展開を図るものだが、医療・バイオ分野における他の重要な課題に対するソリューション研究の立ち上げも積極的に目指す。
ページのトップへ- 第1回「医療・バイオ」ワークショップ
2006年4月24日 - 第2回「医療・バイオ」ワークショップ
2006年5月29日 - 慶應義塾大学医学部との勉強会
2007年7月5日 - 第3回ソリューション研究国際シンポジウム「医療・バイオ」分科会
2008年3月21日 - 工大祭において「磁気ハイパーサーミア装置」と「センチネルリンパ節検出装置」を公開し実験を実施
2008年10月25〜26日 - 次世代に向けた異分野融合シンポジウム
2008年11月21日 - 第4回ソリューション研究国際シンポジウム「医療・バイオプロジェクト」分科会
2009年2月5日 - ケムバイオとの協賛:次世代医療シンポジウム
2009年3月5日
- 「医療・バイオ」プロジェクトの活動状況(半田教授)1716KB
- 磁性ビーズを用いたがん診断・治療技術の開発(阿部教授)1581KB
- 磁気自己組織化に基づくバイオセンシング(Sandhu 准教授)886KB

